永遠の0

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

Twitterで、メタルギア小島監督がすごくプッシュしてはったので
文庫版が本屋さんに平積みされているのを見かけて
購入してみました。


タイトルの「0」は、零戦のゼロを意味し、
現代の26歳の青年である主人公
(司法試験に落ちまくって現在ニート気味)が、
とあるきっかけから、
今まで、存在自体知らなかった、
実の祖父、宮部久蔵について調べ始めるところから始まります。



とても読みやすくて、一気に読んでしまいました。
たいへん! おもしろかったです・・・!!
そしてボロ泣き。ずーっと泣きまくり・゚・(ノД`)・゚・。


3分の2くらいは、通勤電車の中で読んだので、
電車の中でずーっと目をうるませてる人になってました・・・。
大抵のレビューで「ラスト3章は泣きまくり」と書かれていたので
そこは家で読んだのですが正解でした(´;ω;`)


読みやすいだけではなく、
伏線の張り方、ラストへの収束の仕方もお見事でした。
作者の百田尚樹さんは、放送作家で、
ずっと「探偵ナイトスクープ」を担当してる方らしいのですが
今回初めて読みましたが、すごく上手いなあ・・と思いました。
なんというか、「読者を楽しませてなんぼ」の職人魂みたいなのを
ひしひしと感じるタイプの作品でした。
ぜひ他の作品も読んでみようと思います。


この作品もそうですが、
太平洋戦争を題材にした話を、
実際の戦争を知らない、現代の作家が書く場合、
「その時代が強いた精神の苦痛」というアプローチが、もっとも説得力があるよなあと
自分は勝手に考えています。
飢えも、焼け野原も、死体の匂いもしらない、
裕福な時代に育った人間が、いくらそれを書こうとしても、お話として体験しようとしても、
絵空事でしかないから。
そういう意味で、「終戦のローレライ」の飢餓についての扱いは失敗していると思っています。
作者本人が飢えを知らないのに、
戦場での極限の飢餓経験をきっかけに、変化する登場人物を書いても
全然説得力がないんですよね・・
説得力がないシーンが一か所でもあると、そこですっと醒めてしまうので
読んでる方はツライ。


夕凪の街 桜の国』も、
『永遠の0』も、今の現代人に理解できる痛みとして書くことで
読んだ人に何かを残すお話になっているのではないか、と
思います。