ログ・ホライズン 感想 その2

いやー、ネタバレしないように感想文書くのって難しいですな!


でも、自分が読んでた時に、ちょっとした情報であっても、
「! ここで出してくるんだ!」って、
わくわくに拍車がかかる場面がいっぱいあったので、
これから初めて読む方の楽しみを、できるだけ減らしたくないんですよね〜・・。
でも、読んでてとても印象に残ったところは、感想として書き残しておきたい。
というわけでもうちょっとがんばる。


感想その1で、世界構造について書きましたが、
こんどは登場人物について思ったことを。
もう一点「上手いな・・・!」と思ったのは、プレイヤー側の2重構造です。


主人公や、その仲間となる冒険者(プレイヤーの分身であるゲーム内キャラ)達は、
基本的にみんな「気持ちのいい」人たちばかりです。
たいへん個性的であったり、無口であったり、
クセ者であったりはしますが、
「性根が腐った」様な人はいません。
もちろん、冒険者全体の中には、「下種い」人間も色々いますが、
まあそういう人たちの登場は一瞬です。


話の構造上、異世界に飛ばされたプレイヤーに関しては
「ゲーム内キャラクター(冒険者)」と、
「現実世界のプレイヤー(中の人)」が
必ず存在するという2重構造になっています。


たとえば、主人公のシロエは
冒険者(ゲームキャラ):
    「腹ぐろ眼鏡」の異名をもつ、高レベル「付与術師」
    (支援系魔術師)。
     かつて「放蕩者の茶会」というグループに属し、
     参謀として数々の伝説を残す。
中の人(プレイヤー):
    引きこもり気味のハードコアゲーマー大学生


というふうに、
物語の中で活躍するのは、「冒険者」のキャラクターなのですが
土台には、現実世界の「中の人」がいるわけですね。
あたりまえですけど。


ログ・ホライズン」作中では、
「中の人の現実」・・・・
たとえばシロエが「どんな大学生なのか」等については、
ごくごくわずかしか語られません。
ですが、その人物(冒険者)が
「どうしてそう考えるに至ったのか」「どうしてそういう行動をとるのか」は
当然ながら、現実の人生に左右されている訳で。


ごくわずかに垣間見せられる、「中の人の現実」に、
非常に納得したり、背中がぞくっとしたり、
「いったいどんな環境なんだろう・・」と色々想像してしまったり。
普通の小説の登場人物でも、
そういう「表に出さない面」が、
演出効果をもたらすことは、もちろんありますが、
ログホラの場合、「全ての登場人物にその2重構造がある」のが、
底知れないなあと自分は感じました。


「人はなぜゲームするのか?」といえば
「暇つぶし」もあるでしょうが、
基本的には、「現実では手に入らない何かを味わいたいから」なんだと思います。


血沸き肉踊る冒険かもしれない。
強い絆で結ばれた仲間かもしれない。
敵を叩きのめす快感かもしれない。


自分とは異なる性別かもしれない。
自由に動かせる体かもしれない。
美しい容貌かもしれない。
生への絶望感を払拭してくれる何かかもしれない。


それを、現実の自分は「持っていない」から。


自分の持っていないものを、ゲームの中に求めることは
特に変なことでもなく、
ごくまっとうな欲求の満たし方だと思います。
それが悪いわけでは決してない。


しかし、
この2重構造の持つ「暗い落差」みたいなものが、
明るいお話の中に、ふっと垣間見えた時の底知れなさ。
「うまいなあ・・・」と、背筋がぞくぞくしました。


こんなふうに書くと、なんだか暗いお話みたいですが
お話は、それこそ手に汗握って一気読みしてしまう、わくわく系ですからね!!
だからこそ、一瞬垣間見える「影」が、とても印象に残るのです。
その1で書いた「世界構造とその謎」に、ぞくっとするのも同じ理屈。