空の中

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

読了。面白かったです!
あいもかわらず、通勤電車の中で読んでいたので、
立ったまま、涙をこぼす怪しい人に
なってましたが、
文庫書き下ろしの後日譚「仁淀の神様」も含めて、
良いお話でした。


同じ空域で連続して起こった、
原因不明の二つの航空機事故をきっかけに
始まるお話。
事故の生き残りの自衛隊パイロットと、
試験機の事故原因調査のため、メーカー側から派遣される担当者。
事故で亡くなった自衛隊パイロットの息子である少年と、幼馴染の少女。
それぞれの側から、事件と、それをひきおこした思いがけない「秘密」についての物語が描かれていきます。
(できるだけネタバレしたくないので、こういう曖昧な言い方にしておきます)


状況のハードさに対して、登場人物たちは、
くだけていたり、とても素直で純粋だったり、
やわらかい印象の人が多いので
感情移入しやすくてよかったです。
そんな中で、張り詰めて描かれる特定の人物のあやうさが、
際立ちもするわけですが。
ジュブナイルとしても、淡い恋愛ものとしても、SFとしても、読める作品なので
幅広い人が読んで楽しめるのではないかと思います。


読む前は、なんとなく、もっと怖い話を想像していたのですが、
お見事なエンタテイメント!
読後感も爽快、でした。
すごく映画化が向いてそうなお話だな、という印象。
戦闘機飛ばしたり、【白鯨】の描写にいっぱいCGが必要だったり、
ものすごいお金はかかると思いますけどね(^-^;)


そして、解説が新井素子だったことで、
「ああそっか!」と気づいたのですが
新井素子作品がお好きな方なら、
この作品はお気に召すのではないかと思います。
なんというか、お話の感触、さわりごこちが、なんだか似てる。
(あるシーンで「ネプチューン」を思い出したりもしたので。)
おすすめです。