スワロウテイル/幼形成熟の終わり

スワロウテイル/幼形成熟の終わり (ハヤカワ文庫JA)

スワロウテイル/幼形成熟の終わり (ハヤカワ文庫JA)

読み終わりましたが、1冊目(スワロウテイル/人工少女販売処)を
読んだときに感じた欠点が、悪化している印象をうけました。
枝葉が多すぎて、印象が散漫なのです。


作者が思いついた事柄を、全部書こうとして
その結果、肝心な物語の根幹部分も、
ただの背景であろう部分も、
ほぼ同じトーンになってしまい
メリハリ、緩急がないというか、
「背景を書き込みすぎて、人物が埋もれてしまっている1枚絵」を
見せられている感じです。


何かを目立たせたければ、対比として、
薄い部分、目立たない部分を作らなくては
全てを太い線で書いたところで、ただ平板になってしまうと思うのですが・・


背景情報に行を費やすよりも、
「ある人物の正体がこの人であった!」など、
話が急展開する時に、それがはっきりと判りやすいように記述するなど、
そちらにリソースをさく方が効果的なのでは?と思うシーンも多かった。
(種明かし後の筈なのに、
「これってあの人ってこと?よく判らん」と
モヤモヤしながら読み進めると、ぜんぜんテンションが上がらないのです)


スリードを誘う部分でも、導線があいまいというか、薄すぎて、
結果、種明かしの時のインパクトも薄くなってしまいましたし。
そういうところこそ、たたみかけてほしかった。


同じような刺激にずっとさらされると、脳は疲れてきますから、
途中で読むのがしんどくなってきます。
「読者が読んでいて、どう感じるか」が、
あまり考慮されていないのではないだろうか?と思いました。


あと、既存のゲームとかアニメのセリフを、
パロディのつもりなのか、ちょこちょこ混ぜてあるんですが
たまーにならいいですけど、
かなりの頻度なので、それも鼻につきます。
はっきりいって「すごく同人作家くさい」。
商業レーベル(しかもハヤカワ)から出している本なら、
もうちょっと自重していただきたいなと・・。


たぶんこの作者さんの本、3冊目は読まないです(´・ω・`)