妖精の詩

妖精の詩

妖精の詩

こないだ言ってた、ネットゲーム内の恋愛についての本ですが読んでみました。
面白かったです。
ネットゲームする人たちが、感じてはいるけど上手く説明できないことを
「おお、プロが書くとこうなるんだなあ!」という印象でした。


画面に表示されるわずかな文字列
そこから相手の意図を読み取って読み取って
少しずつ少しずつ相手の信頼を勝ち得てバリアを剥ぎ取って
少しずつ少しずつこちらのガードも下げていって
でも誤解や行き違いも発生して
ほんの少しの行き違いで全てがアウトになりそうなあの綱渡り感


ゲームの世界に魂だけの存在として降り立った幽霊同士の恋愛、っていうのは
なんだかすごくよくわかる。

著者が恋した相手キャラ、「破壊」のことを

破壊には、姿形も声も匂いもなかった。個体識別のよすがは、彼が打ち出す言葉しかなかった。その言葉が表す独特の魂に、私は惚れた。どんなに奇妙であっても、それがほんとうに起きたことだ。
(264ページより引用)

とエピローグに書いているのですが、「うんうん」って思っちゃいましたねえ。


ただまあ、著者は、現実の「破壊」に会いたい、触れたいと言う欲求が強いのだけれど(そしてそう動くのだけれど)
私はそこは違うなーと思いました。
昔ならそう思った気がするけど、今は現実にあいたいとは思わない。
体はいらない、魂だけおくれ。
なんかそんな感じだなあ。


すごく純度の高いものだけ、最初に出されるから
そのあと、不純物混じりの全体を出してもらわない方がむしろいい・・みたいな。
ゆがんでるかな(^_^;)


もちろん、不純物まみれの自分を出したくない、っていうのもでっかいです。
やっぱし客観的に見て、ロクなもんじゃないしね。自分。