巌窟王 23幕・最終幕感想(ネタバレあり)

そして、巌窟王DVDのラスト12巻を借りたので
早速正座して見ました・・・が・・・


正直な感想は
「あ・・・・・・あっれぇ・・・・・・?」


もちろん、あの展開で、全くご不満の無い方もいらっしゃると思いますので
好みの問題なのですが
正直に自分の感想を書いてしまいます。
私の理解力が、足りないだけかもしれませんので、
あのラストに全く違和感を覚えなかった方は
以下の文章は、ご覧にならないほうがいいかも。



<ここより盛大にネタバレ>


伯爵とフェルナンの対決が核なのに、
フェルナンの行動に、途中からついていけなくなってしまいました・・・
22幕で、伯爵の所へいかせるよりはと、メルセデスを撃ち、
アルベールを無理心中に巻き込むべく撃ち、
自分も死のうとするけど死に切れず、
伯爵を殺しに向かうところまでは、理解できたんです。


なのに、生きてたアルベールを殺すと脅されて
銃を落としちゃうところで「ええ?!」って・・
アンタさっき、息子殺す気で、撃ってんちゃうん・・・・
愛する妻を殺して、パリを焼くとこまで狂気に満ちてたのに
いきなりそこで正気に戻るのは何故・・・?!
いや、正当な理由があれば、戻ってもいいんだけど、
なんで戻るのかが、見ててよく判んなかったんです(--;)
自分が撃つのはいいけど、人に撃たれるとなると親心が復活するの・・か・・?


バティスタンが、なんでそこまでしちゃうか・・も
ちょっと苦しい感じはしましたが
まだあれは、かろうじてついていけました。


その後、王子様のキスでお姫様が元に戻るのも(あれ?逆?まーどっちでもいいや)
御伽噺のセオリーだと思えば、別に異論はありません。


剣の切っ先の伏線は、思い出すのに、ちょっと時間がかかりましたが
一応理解できました。
(決闘のときのシーンを、
一瞬でいいので、ここで挿入してくれれば、もっと判りやすかったと
思うのですが、それは贅沢でしょうか)


でもこっからまた、今度は伯爵がよくわかんない。


なんでここでイキナリ、「アルベールを殺すこと」に
そんなに執着しているのか・・?
今までもずっとそうだったのを、私が全然理解できてなかっただけ
なのでしょうか・・・。
でも、さっきは巌窟王、彼を殺さずに立ち去ろうとしてたんじゃないの・・?


その存在自体が「裏切りの果実」であり、
純粋無垢な魂であった彼に
人を呪い恨む激情を刻み付けて、汚してやりたい・・
という伯爵の意図は、ちゃんと描写されていたと思うし
その「復讐」はすでに成されてる気がするので
「フェルナンへの嫌がらせ」としてではなく
アルベール本人を殺すことに執着する理由が、
どうもよく判らない。
巌窟王になったとたん、フェルナンは眼中になくなっちゃったかのように見えたし。


ここまでの話で、伯爵がアルベール本人への殺意を露わにしたのって、
決闘で止めをさすシーンくらいだった気がするのですが
ずっと根底には殺意があったってことなのでしょうか。
すごく唐突な印象を受けてしまったのです。


話の根幹をなす2人の心情に、ついていけなくなってしまったため、
感想が「あ・・・あっれぇ・・・????」に
なっちゃったんですね・・(T_T)


ここまでの22話分、全く何の違和感もなく、
ものすごく惹き込まれて見ていただけに、「えええ?」って感じです。
(・・いや、22幕で、パリ爆撃のさなか、それには全く言及せず
話を続ける伯爵とアルベールには違和感覚えてたかも。
すでに一話前から前兆はあったのか・・)


肝心の最後の最後で、おいてけぼりをくらってしまった感じで
なんだかちょっと途方に暮れてしまいました。
23幕だけ、やたらアルベールの姿が幼い感じに描かれているので
「ああ、そういえば、まだ16歳だったんだよな」と思い出すには良かったのですが
やはりすこし違和感がありましたし。


あの展開自体に不満があるというよりは、
彼らがその行動にいたる、丁寧な描写が欲しかった・・
というところでしょうか。
今までが、かなり丁寧に描写されていたと思うので、
余計に惜しいというか、残念なのでございます。


最終幕は特に不満はないです。
でも「最終幕」というよりは、「カーテンコール」っていう
感じがしました。
最後に、オープニング曲が歌詞の字幕付きで流れるのは
とてもよかった。


作品自体の完成度としては
23幕&最終幕よりも、15幕、18幕のほうが、遙かに高かったような
気がします。
最後の最後で息切れしてしまったのでしょうか・・(T_T)
なんかすごく惜しい・゚・(ノД`)・゚・