遙かなる時空の中で 十六夜記 ネタバレ感想


十六夜記のカラー、ということかもしれませんが
銀ルート・知盛ルートって、他の「遥時3」の八葉ルートと比べて、
かなり異色だと思うんですよね。
神子(主人公)自身も、
銀・知盛ルートにおいての言動は、
八葉ルートより、大人びているというか、迷いを捨てている印象があります。


銀ルートの泰衝との会話で

「私が正しいとは思っていないよ
自分の守りたいもののために私も剣をふるう

きっと・・私は あなたと何も変わらない」


と言うくだりで
特に強く感じました。
泰衝も、単純な悪役としては描かれていなかったですね。
自分が守るもののために手段を選ばない覚悟を決めているだけ。
頼朝が、いかにもな「悪役」と化しているのに比べると、
けっこう深く演出されてるなと思いました。


銀と知盛に共通するのは「狂気と執着」。
なんか、そんなイメージがあります。
あと、当たり前ですが、二人とも「八葉(=神子を助け、守る者)」ではないので、
ある意味で、神子と対等の立場。


銀の、神子への執着・・
ラスト間際、殺されても殺されても、神子を助けるべく、
戦い、這い上がってくるシーンは、正直言うと私はちょっと怖かった。
健気・・というより、
闇に堕とされた魂の、光(神子)への執着のような匂いを強く感じてしまいました。
(戦闘シーンのドット絵のキャラが、気力(HP)ゼロになって倒れた後、
自動復活し、ずるり・・という感じで立ち上がるのが、なんとも怖かった)


エンディング直前の、ヒノエとの軽口の応酬でも、銀は神子への独占欲を隠さない。
冗談めかしてはいますが、同じような内容をヒノエが口にする時の明るさとは、なんだか空気が違う。
ひんやりとした怖さを感じました。深読みしすぎでしょうか。


知盛ルートの一番の特徴はやはり「神子の方から、攻めて行く」姿勢かなーと思います。
一番最初に、剣を交えた神子に執着し始めたのは知盛ですが、
最後には関係が逆転する。
神子が、知盛が命を落とす運命を改変することで、
生き残ったものの「神子と出会っていない」状態になっている知盛。
明日には、元の世界(異世界)に戻ってしまう神子は、
自分のことを知らない知盛に、自分を覚えていて欲しいと、
自身の存在を刻み付けるために、剣をもって挑む・・。
ここまで攻めの姿勢に徹する神子は、このルートだけなんですよね。
そういう意味で、神子側の執着もはんぱじゃないと言えます。


一番最初の出会いで、知盛が神子と剣を交えた時の感想を
「強くて、したたかで、獣のような女だ」と評したとき、
『えぇぇぇ〜?そうかぁ??』と思ったのですが、
知盛エンドにおける神子はまさにそのとおりの女になっていたので、
お見事!と思いました。